澤田、フィジーで働くってよ

青年海外協力隊として、フィジーの教育省で教材やカリキュラムを作ることになった、澤田の奮闘を綴ります。

三歩進んで二歩下がる

勤務18日目。職場には連休明けの気だるい感じが漂っており、朝礼も実施されなかった。

夏休みを取っていたBulouさんは髪型を変え、新しいスマホもゲットして、ご機嫌の様子。

 

久々にBulouさんに会えたのはとても嬉しかったけど、朝から、もやっとする出来事が二つあった。

一つ目は、先週提出した9年生の英語の教科書のデザイン案について、オフィサーの理解が得られなかったこと。

 

私たちが担当したのは、表紙と各単元の見出しページ。

旧デザインは、WordSmart Artを使った、文字文字しいデザイン。

色やテクスチャを使いすぎていたり、背景色と文字色のコントラストを考慮していなかったり、余白が少なかったりと、ツッコミどころが満載だった。

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そこで私たちは、文字の内容を象徴する画像を挿入し、文字や色の数を抑え、余白を増やした。

これは、障がいを持った人にとっての見やすさを追求する「ユニバーサルデザイン」でも推奨されている考え方。

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でも、オフィサーからは、画像を大きくして余白を減らし、もっと賑やかな感じにしてほしい、というフィードバックを頂いてしまった。

前の仕事でもよく感じたことだけど、デザインは理論じゃなくて、主観・好みで判断されがちなので、こういう時、本当にもどかしい。そして、私も会社員時代、同じことをデザイナーさんにしちゃってたのかなと反省。

 

このデザインにしたのには、ちゃんと訳がある。それを理解した上でジャッジしてほしいと思った私は、日本の教科書を見せながら、むやみに賑やかにするとかえって見づらくなってしまうとか、一定以上の余白は必要だとか、できる限り理論的に伝えてみた。

 

Bulouさんは大きく頷いてくれたけど、オフィサーは苦笑いしながらこう言った。

「あなたは余白を増やしたいというけど、上司には、なるべく余白を作らないように言われたのよ。だから、うまいこと直して」

 

私も曲がりなりにも会社員だったから、彼女の気持ちはわかるけど、「私の生徒は賑やかなデザインが好きだったから」とかじゃなくて「上司に言われたから」って

結局、これ以上主張するのは関係性のためによくないと考えて、渋々、直すことを承諾した。

 

それからしばらく、あの時は言い返さないで、素直に聞き入れたほうがよかったかな、と一人でうじうじ悩んだ。

Bulouさんには、Mikuは真面目に考えすぎだよ~適当に聞き流したほうがいいよ~と言われたけど。。。

 

デザインには理論があることを知ってほしいし、「編集部=御用聞き」だとも思われたくない。

でも相手は教員歴20年。こんな外国から来た小娘に偉そうなことを言われたら、気分を害するに違いない。

最初のうちは、御用聞きでもいいのかな。うーん。

 

二つ目は、学校向け映像教材の制作を担当するSBUとのミーティングで感じたもやもや。

彼らの仕事を編集部が手伝うことになり、初めてSBUの実態を知ったのだけど、

・複数人のチェックが入る教科書とは異なり、映像教材は彼らのボスだけがチェックするので、間違いが起きやすい

・フィジー全土の学校に配布する数千枚ものDVD-Romを家庭用のプリンターでオフィサーたちが1枚1枚印刷している

・彼らは撮影のプロなのに、遠方の撮影には出張費の都合で同行させてもらえず、素人が撮影した質の低い映像を加工するという作業に時間を費やしている

などなど。

 

2点目については、御用達の印刷会社もあるのになんで外注しないの、と聞いてみたところ、外注の手続きを踏むほうが面倒くさいと言っていた。

気持ちはわかるけど、フィジーの人って、長い目で見たらこっちのほうがいい的なことをあまり考えないで、刹那的に働きがちだと常々感じる。

決裁ルートを整理するとか、外注や出張のメリットをまとめて上司に提案するとか、なんかできないのかなあ。うーーーん。

 

もやっとした一日だったけど、嬉しいこともちらほら。

例えば、もう1人の編集者であるMeciさんが、私のデスクにやってきて、言った一言。

「メール見たよ。確かに、普通の学校にも、視覚障がいを持った子どもはいるよね」

 

というのも、私が先週提出したデザイン案に、視覚障がいを持った人が見たらこうなる、というイメージを添付したのだ。

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Photoshopでは、P型・D型の視覚障がいのフィルターをかけることができる。それから、白黒印刷のイメージを確かめておくことも重要

 

Meciさんについては、宛先をCcに入れただけだったけど、ちゃんと見てくれている人がいる、というのが嬉しかった。

私は障がいを持った子どもに特化したデザインというよりも、あらゆる子どもにとって見やすいデザインを追求する視点を、オフィサーたちに持ってほしいと思っている。自分の好き嫌いで判断するんじゃなくて。

だから、これは大きな一歩。こうして少しずつ、みんなの意識を変えていけたらな。

 

それに、自主的に毎週提出しているレポートも、Bulouさんだけでなく、PrimarySecondaryのトップが目を通し、フィードバックをくれるようになった。

編集部が何をやっているのか、何ができるのか。それを伝える一助になっていたらいいなと思う。

 

最後に、今日、初めてBulouさんとツーショットを撮りました!9月10日は自撮り記念日となりました。わーい。

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おしまい。